とちぎの高校生人権劇場(スタートアップセミナー)に招かれて
天 城 美 枝 記
 5月28日(土)宇都宮市の栃木県総合教育センターで行われた「とちぎの高校生人権劇場」に、新生ふるきゃらの天城と、おつきあいの長い劇団、武蔵野の「新芸座」演出家・赤澤勇司さん、舞台監督の実川太一さんの3人が、ワークショップの講師として招かれました。
 栃木県教育委員会が主催するこの事業は、演劇という創造的で体験的な表現方法を通じて人権について深く考え表現することで、人権尊重の精神をはぐくもうというユニークな企画です。
 県内の高校に呼びかけ、5校、44名の高校生が集まって来ました。一日で小作品をつくって、最後には皆で発表しあい、その経験を持ち帰って、次は12月、冬の大会に向けて本格的に創作に取りくもうという趣旨です。
 雨模様の28日早朝5時過ぎ、小金井を出発した3人、赤澤さんの運転で、9時に宇都宮の総合教育センターに到着、すでにロビーには沢山の制服姿の高校生が開始を待っていました。果たして、6〜7時間の中で、各学校の生徒たちが自力で作品をつくるのに、誘導していけるだろうか!と3人の緊張は高まりました。
 はじめにひとつの教室に集まった5校、足利女子高、宇都宮清陵高、益子芳星高、宇都宮女子高、宇都宮南高、担当の先生共々50名に対し、栃木県教育委員会から本日の趣旨が伝えられました。
 我々3人は自己紹介のあと、例えば、こんな作品をつくってみましたので参考にしてみて下さいと、人権にちなんだ落語風コント、そして身近なくらしの中から「人との関わり」をテーマにした作品を披露しました。これについては、教育現場を熟知していられる、教育委員会の担当阿久津氏から度々サゼッションをいただきながら仕上げたものでした。
 そのあと、各高校の演劇部は3つの教室に分散し、天城、赤澤、実川が各教室に別れて、作品制作に入りました。
 教室には本日密着取材のとちぎTVがはいり、生徒たちの創作現場を撮影していましたが、(6月19日放送予定)生徒たちは緊張する様子もなく、自主的に、生き生きとアイディアを出し合い、大変チームワーク良く作業していきました。  タイムリミット40分前、再びひとつの教室に集まった生徒たちは、皆の心配、出来るだろうかという杞憂をみごと裏切ってくれて、出来たばかりの小作品を発表し合いました。
 題材もさまざま、高校生の身近な暮らしから、友情や、恋愛、家族、そしてアルバイト先で経験した、市井の暮らしの中から、又、現実を飛び越した、「クローン人間」など、それぞれ人権のテーマを探って作り上げた作品でした。
 見終わって、引率の先生たちや、栃木県教育委員会の人達は、「ここまでやれるとは思わなかった!」と感想を述べ、生徒たちの奮闘を称えました。
 そしてこの経験を各学校に持ち帰り、再度、この冬12月の大会に発表するための作品づくりに取りくむことになります。
 往復クルマで6時間、作品つくりに6時間、大変疲れた一日でしたが、久しぶりに若い高校生のはつらつとした創造的エネルギーに触れて、快く、楽しい一日となりました。